怪我した翌日、私は戦場(自宅)にいた

「手術しますか? それとも保存療法(ギプス)で治しますか?」

救急外来の医師に問われ、私が選んだのは 「保存療法」 でした。
手術痕が残らないメリットはありましたが、一番の理由は「入院して家を空けるわけにはいかないから」。

家には、繊細な小学1年生の娘と、まだ首も座っていない生後3ヶ月の息子が待っています。
入院なんてしている場合じゃない。

翌日、整形外科でガチガチのギプスを巻かれ、松葉杖をついて帰宅した私を待っていたのは
休息ではなく「待ったなしの育児」でした。

手術をしていない分、「本当にこれで繋がるの?」という不安。
そして、日に日に細くなっていく(気がする)足への恐怖。

これは、アキレス腱断裂という大怪我を負いながら、保存療法で「小1の壁」と「0歳児育児」に挑んでいるママの、汗と執念の1週間の記録です。

【この記事でお伝えすること】

  • 怪我後1週間のリアルな痛みと「保存療法」の不安
  • 小学生と乳児の間で板挟みになるママの苦悩
  • 【必須】ギプス生活のお風呂を快適にする「神アイテム」
  • 【執念】寝たきりでも絶対にやる「筋力低下防止トレーニング」

【この記事では解決しないこと】

  • 医学的な完治までの期間(個人差があるため)
  • ワンオペの完璧な攻略法(夫と文明の利器に頼りましょう)

目次

  1. 「手術なし」を選んだ代償:休む間もなく始まった戦場
  2. 小1娘の「我慢」と、0歳息子の「ギャン泣き」の狭間で
  3. ギプス生活の最難関!「お風呂」を乗り切る必須アイテム2選
  4. 「ママ、また寝てるの?」小1娘の視線が突き刺さる
  5. 座りっぱなしの救世主!お尻を守るクッションとお風呂グッズ
  6. 足が細くなるのが怖い!私が毎日続けている「執念の筋トレ」
  7. 保存療法の長い道のり、焦らず「太く」治していこう

1. 「手術なし」を選んだ代償:休む間もなく始まった戦場

保存療法の最大のメリットは、入院や手術のリスクがないこと。
しかし、最大のデメリットは 「強制的な休息期間がないまま、日常に戻されること」 でした。

怪我をした翌日。

本来なら病院のベッドで痛み止めを打たれて寝ているはずの時間に
私は自宅のソファで、泣き叫ぶ生後3ヶ月の息子のオムツを(片足立ちで)替えていました。

足を下げると、患部に血液が溜まり、ジンジンします。幸い特に痛みはありませんでした。

目の前にはミルクを待つ赤ちゃんと、ランドセルの準備に戸惑う娘がいる。

「ママ、だいじょうぶ?」

不安そうに覗き込む娘に、「大丈夫よ」と笑いかける引きつった顔。
手術をしないと決めたのは自分ですが、「これ、本当に治るの?」という不安と
日常の慌ただしさが同時に押し寄せ、メンタルは初日からギリギリでした。

2. 小1娘の「我慢」と、0歳息子の「ギャン泣き」の狭間で

上の子は小学1年生。環境の変化に敏感な時期です。
おとなしい性格の娘は、松葉杖姿の私を見て、急速に「いい子」になろうとしました。

「ママ、学校の準備ひとりでしたよ」
「宿題おわったよ」

いつもなら「ママ見てー!」と言うはずの場面でも、じっと唇を噛んで我慢している。
その健気さが、逆に私の胸を締め付けます。

一方で、生後3ヶ月の息子は容赦ありません。
抱っこしてゆらゆらしないと泣き止まない。

でも、松葉杖の私には「立ってゆらゆら」は不可能です。

静かに我慢する娘と、全力で泣く息子。

どちらも抱きしめてあげたいのに、私はソファから動けない。

「ごめんね」と呟きながら、ただ授乳クッションの上で息子をトントンし
娘には言葉で「大好きだよ」と伝えることしかできないもどかしさ。

この精神的な板挟みが、足の痛み以上に辛いものでした。

3. ギプス生活の最難関!「お風呂」を乗り切る必須アイテム2選

保存療法でギプス固定をしていると、絶対に濡らしてはいけません。
でも、育児で汗だくの体は毎日清潔に保ちたい。

そこで私が導入し、「これがないと詰む」と確信したアイテムを紹介します。
これから保存療法を始める方、今すぐAmazonでポチってください。世界が変わります。

① シールタイト(ギプス用防水カバー)

最初は「ゴミ袋とガムテープでいけるでしょ」と思っていました。絶対におすすめしません。
隙間から水が入る恐怖と、毎回テープを巻く手間でストレスがマッハです。

「シールタイト」のような専用カバーは、ゴムの伸縮力で足にピタッと密着し、一滴も水を入れません。
これがあるだけで、シャワー中の「濡れないかな?」というストレスがゼロになります。

装着も5秒であっという間。こちらはすぐに即戦力となりました。

② 介護用シャワーチェア(背もたれ付き)

我が家のお風呂の椅子は、低いやつでした。
ギプスをした足で、低い椅子に座ったり立ったりするのは、スクワット以上の負荷と転倒リスクがあります。

そこで導入したのが、高さ調節ができる「介護用シャワーチェア」

  • 高さがあるので立ち座りが楽
  • 座面が広くて安定感抜群
  • 背もたれがあるので、洗髪中にふらついても安心

これに座って、防水カバーをした足を浴室の外(あるいは高い位置)に出せば、優雅なシャワータイムが確保できます。育児に追われる中、唯一のリラックスタイムを守るための投資です。惜しまないでください。

4. 「ママ、また寝てるの?」小1娘の視線が突き刺さる

お尻の痛みに耐えかねて、私はリビングのラグの上にゴロンと横になる時間が増えました。 横になればお尻は楽だし、足もクッションに乗せて高く上げられます。医学的には正解です。

でも、そこへ学校から帰ってきた小学1年生の娘。 彼女の目にはどう映るでしょうか。

「ママは、ずっとゴロゴロしている」

娘は何も言いません。 でも、ランドセルを置いて、自分で明日の準備をしている背中が語っています。 「ママは大変そうだから」と気を使っているのか、「だらしない」と思っているのか。

おとなしい娘のことです。きっと前者でしょう。 でも、それが辛い。 「ごめんね、サボってるんじゃないの。足を上げないと痛いの」 そう言い訳しながら、横になったまま「おかえり」と言う情けなさ。

その横で、3ヶ月の息子が泣き出します。 横になったままでは抱っこできません。 「あいたたた……」 痺れるお尻を叩きながら、歯を食いしばって体を起こす。 この動作一つ一つが、私のHPを削っていきました。

5. 座りっぱなしで退屈な怪我人の救世主!お尻を守るクッションと移動方法

このままでは、アキレス腱が治る前に私が座れなくなる。 そう危機感を抱いた私が導入し、**「これがないと生活が破綻する」**と確信したアイテムを紹介します。

① 「ゲルクッション」または「ドーナツクッション」

悪いことは言いません。今すぐ買ってください。 普通の綿の座布団では、私たちのアキレス腱断裂級の「座り時間」には太刀打ちできません。

  • ハニカム構造のゲルクッション: 体圧分散がすごく、お尻が底付きしません。
  • 医療用ドーナツクッション: 産後用があればそれを。尾てい骨が浮くので天国です。

これを、リビング、食卓、寝室と持ち歩きます(這って移動させます)。 これがあるだけで、授乳中の「お尻の痛み」によるイライラが半減しました。

② 移動用の「キャスター付き椅子」

私が導入したのは、美容院や病院でよく見る**「背もたれのない、昇降式の丸椅子(スツール)」**です。 これに乗った瞬間、私は自由を手に入れました。

健康な右足で地面を蹴って、スーッと移動します。 片足立ち(ケンケン)移動は体力を消耗するし危険ですが、これなら座っているので転倒リスクがほぼゼロ。 何より速い!「ママ、忍者みたい!」と小1の娘も大喜びです。

安物の丸椅子の座面は硬いです。長時間座って移動していると、お尻が悲鳴を上げます。 ここで登場するのが、「ゲルクッション」または「ドーナツクッション」。 これを椅子の上に置くだけで、長時間稼働が可能になります。絶対に合わせて買ってください。

キャスターは、小さな段差や床に落ちているレゴブロック一つでつっかかります。 勢いよく移動している時にブロックを踏むと、急ブレーキがかかり転倒します。 これは本当に危ない。

小1の娘にはこう伝えました。 「床に物が落ちてると、ママは転んでまた足が痛くなるの。ママの通る道(ロード)を作って!」 すると娘は、「ママロード確保!」と言って、必死に片付けをしてくれるようになりました。

6. 足が細くなるのが怖い!私が毎日続けている「執念の筋トレ」

「ギプスを外したら、足が棒のように細くなっていた」

ブログやSNSで見るそんな体験談に、私は恐怖しました。

ただでさえ30代、筋力低下は死活問題です。しかも、治ったらすぐに2人の育児と抱っこが待っている。

「弱ってる場合じゃない。むしろこの期間に鍛えてやる」

医師に確認し、患部に負担をかけない範囲で、私は毎日以下のトレーニングを必死にやっています。

  • 足指のグーパー運動(1日100回目標)ギプスの中で、足の指だけは動かせます。医師からも「血行が良くなるし、ふくらはぎの筋肉への刺激になるからやって」と言われました。授乳中も、テレビを見ている時も、ひたすら指を動かしています。地味ですが、足が温まります。
  • 患部側の足上げ(レッグレイズ)仰向けになり、ギプスの重さをダンベル代わりにして、膝を伸ばしたまま足を上げ下げします。太ももの筋力を落とさないための必死の抵抗です。
  • 反対足とお尻の筋トレ(ヒップリフト)健康な右足は酷使します。だからこそ鍛える。仰向けで右膝を立て、お尻を持ち上げる。これで体幹とお尻を鍛えておかないと、松葉杖生活で腰をやられます。

「私はただ休んでいるんじゃない、戦っているんだ」

筋トレをしている時間だけは、前向きな気持ちになれました。

7. 保存療法の長い道のり、焦らず「太く」治していこう

保存療法は、手術に比べて治療期間が長くなりがちだと言われます。
ギプスが取れるまで数週間、装具になるまでさらに数週間。

小1の娘と桜の木の下で写真を撮りたいけど間に合うかな?
3ヶ月の息子がハイハイする頃には、一緒に遊べるかな?

不安は尽きませんが、焦って再断裂するのが一番怖いこと。
今は、優しい娘が持ってきてくれるお水に感謝し、
息子のむちむちの太ももを触って癒やされながら、

「アキレス腱は切れても、親子の絆は切れない」

と信じて、地道に治していくしかありません。
防水カバーとシャワーチェア、そして毎日の足指運動。

これらを武器に、この「地獄のギプス生活」を乗り越えましょう。
私も今、ソファの上で足の指を動かしながらこの記事を書いています。

一緒に、焦らず、でも確実に治していきましょう!

また2週間後に会いましょう!